合格後に差がつく!一級土木施工管理、「市場価値が上がる実務経験」と「上がらない実務経験」の違いとは?

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「一級土木施工管理技士の資格を取りたい。でも、受験するにはあと〇年の実務経験が必要だ…」

資格取得を目指す多くの技術者の方が、カレンダーを眺めながら、そんなふうに経験年数が満たされる日を心待ちにしているかもしれません。定められた期間、現場での経験を積むことは、もちろん受験のために不可欠なことです。


しかし、ここで一度、立ち止まって考えてみてほしいのです。ただ言われた仕事をこなし、時間だけが過ぎていくのを待つ。そんな「受け身の実務経験」で、本当に良いのでしょうか。


実は、同じ「5年間」であっても、その経験の中身、つまり「質」によって、試験の合格しやすさはもちろん、資格を取った後のあなたの技術者としての価値、つまり年収やキャリアの選択肢は、驚くほど大きく変わってきます。この記事では、単なる受験資格の話にとどまらず、あなたの未来を豊かにする「市場価値の高い実務経験」とは何か、そしてそれをどうすれば積むことができるのかを、具体的にお話ししていきます。




【完全ガイド】一級土木施工管理技士の実務経験、全解説

「そもそも、自分はあと何年の実務経験が必要なんだろう?」

価値ある経験の話をする前に、まずは誰もが気になる受験資格の基本について、分かりやすく整理しておきましょう。ご自身の学歴と照らし合わせながら確認してみてください。


学歴によって変わる、必要な実務経験の年数

一級土木施工管理技士の第一次検定を受けるために必要な実務経験は、最終学歴によって細かく定められています。


大学の指定学科を卒業した場合:3年以上の実務経験


短期大学や高等専門学校(5年制)の指定学科を卒業した場合:5年以上の実務経験


高校の指定学科を卒業した場合:10年以上の実務経験


上記以外の学歴の場合:15年以上の実務経験


※指定学科とは、土木工学や都市工学、衛生工学、交通工学などに関する学科を指します。




「実務経験」として認められる仕事の内容

大切なのは、ただ建設会社に在籍しているだけでは実務経験とは見なされない、ということです。土木一式工事や、とび・土工・コンクリート工事、鋼構造物工事、舗装工事といった、土木工事の施工に直接関わる経験である必要があります。書類作成などの事務作業や、設計のみを行う業務は、原則として実務経験には含まれないので注意が必要です。



第二次検定で問われる「指導監督的実務経験」

さらに、第二次検定を受験するためには、実務経験のうち2年(もしくは1年)以上、「指導監督的実務経験」が求められます。これは、現場代理人や主任技術者、施工監督といった立場で、部下や下請け業者の方々を指導しながら、現場の管理を行った経験を指します。




合否を分ける「経験記述」で評価される実務経験とは?

第一次検定を突破した後、多くの受験者を悩ませるのが、第二次検定で課される「経験記述」です。これは、あなたがこれまで経験してきた工事について、具体的な課題や、それに対してどのように考えて行動したかを文章で説明する、いわば「実務経験の質」そのものが問われる試験と言えます。


では、試験官に「お、この人はよく考えて仕事をしているな」と評価されるのは、どのような経験なのでしょうか。ただ漫然と現場にいただけでは、説得力のある記述は書けません。鍵となるのは、次の3つの要素です。



要素1:経験の「多様性」

例えば、「河川工事しかやったことがない」という人よりも、「河川も道路も橋も、様々な種類の工事を経験してきた」という人の方が、幅広い知識と応用力を持っていると評価されます。会社の都合で担当する工事が決まることが多いかもしれませんが、意識して様々な現場に触れる機会を持つことが、あなたの技術者としての引き出しを増やします。



要素2:管理への「主体性」

「先輩に言われた通りにやりました」という経験談では、評価されません。施工管理の基本である「品質」「コスト」「工程」「安全」といった管理項目に対して、あなたが「自分自身の頭で考え、課題を解決するために主体的に行動した経験」が求められます。小さなことでも構いません。「どうすればもっと良くなるか?」を常に考える姿勢が大切です。



要素3:技術の「先進性」

近年、特に注目されているのが、ICT施工(情報通信技術を活用した施工)やCIM(シム)といった、新しい技術に触れた経験です。こうした先進的な取り組みに携わった経験は、あなたが変化に対応できる、未来志向の技術者であることの強力なアピールになります。




【キャリア戦略】市場価値を高める実務経験が積める企業環境

質の高い実務経験が大切なことは分かった。では、どうすればそれを積むことができるのでしょうか。もちろん、日々の仕事に対する個人の意識も大切です。しかし、それ以上に大きな影響を与えるのが、あなたが働く「会社の環境」です。成長できる環境に身を置くことが、市場価値の高い技術者になるための、一番の近道と言えるかもしれません。ここでは、会社選びで失敗しないための、3つのチェックリストをご紹介します。



チェック1:資格取得への「支援制度」は手厚いか

社員の成長を本気で応援している会社は、資格取得のための支援を惜しみません。高額な受験費用や登録費用を会社が全額負担してくれるか。試験対策の講習会に参加させてもらえるか。こうした具体的な支援制度の有無は、会社が社員のスキルアップを単なる「個人の努力」ではなく、「会社としての投資」と考えているかどうかの、分かりやすい指標になります。



チェック2:多様な「工事実績」があるか

会社のウェブサイトなどで、過去にどのような工事を手がけてきたかを見てみましょう。特定の種類の工事ばかりでなく、道路、河川、橋梁、造成など、様々な分野の工事実績が豊富にある会社は、それだけあなたに多様な経験を積ませてくれる可能性が高いと言えます。特に、ICT施工のような新しい技術を使った実績が多ければ、先進的なスキルを身につける絶好の機会になります。



チェック3:若手に「裁量権」を与える文化があるか

「若いうちは、言われたことだけやっていればいい」という文化の会社では、主体性は育ちません。一方で、早い段階から責任ある現場代理人などの仕事を任せ、若手の挑戦を積極的に後押しする会社もあります。もちろんプレッシャーはありますが、こうした経験こそが、あなたを飛躍的に成長させてくれます。社員インタビューなどで、若手社員がどのような仕事をしているかを確認してみるのも良いでしょう。




結論:資格は未来へのパスポート。戦略的な実務経験でキャリアを切り拓こう

一級土木施工管理技士の資格は、取得することがゴールではありません。それは、あなたが技術者として、より豊かで自由なキャリアを歩むための「パスポート」のようなものです。


その価値あるパスポートを最も確実にてにする方法は、日々の仕事を「受験資格を得るための時間」と捉えるのではなく、「自身の市場価値を高めるための戦略的な経験」と捉え直すこと。そして、そのための最高の環境を、自らの意思で選ぶことです。


同じ時間働くのであれば、あなたの成長を心から願い、応援してくれる会社で働いてみませんか。5年後、10年後、「あの時の選択は間違っていなかった」と心から思えるような、そんなキャリアの第一歩を、ぜひ踏み出してください。


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